• 【私たちのサスティナブル Vol.5】アップサイクリングクリエイター マロクラタニさん
サムネイル

【私たちのサスティナブル Vol.5】アップサイクリングクリエイター マロクラタニさん

リユースアイテムを活用して賢くオシャレになる方法をご紹介しているKÓMERUでは、サスティナブルなライフスタイルに注目しています。今回は、アップサイクリングクリエイターやニットデザイナーとして活躍するマロクラタニさんにお話を伺いました。

ファッションに対する興味から芽生えたアップサイクルへの思い

マロさんは小さな頃からファッションに興味を持っていたのだとか。

カラフルなアップサイクル瓶

はい、服が好きだった祖母の影響もあり、3歳くらいから服を自分で選ぶような子どもでした。その頃から、服が私の表現方法だったのだと思います。
高校生の時には、兄や周りの友達がヴィンテージの服が好きで、私もすごくはまっていました。

デザインや服飾はいつ、どこで学ばれたのですか?

ニットデザイナーを目指して、大阪文化服装学院のニットコースに3年間通いました。ニットを専攻している人の数が少なかったので、就職活動をするときに希少価値が高まると思ったんですよね。

卒業後は、関西のアパレル企業で念願のニットデザイナーに。就職した企業はオフィススタイルのファッションブランドを中心に展開していて、百貨店にも入っていました。

ご自身のブランドを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。

LOVE it ONCE MOREのエコバッグ

働いていたアパレル企業は全国にお店があるため、服の発注枚数が多く在庫も多かったんです。次第に「また捨てられてしまうのに、なぜ新しい洋服を作っているんだろう」と考えることが増え、廃棄が多いことをわかっていながら対処しようとしない会社の姿勢にも疑問を抱くようになってしまって。当時はその会社だけでなく、業界自体の慣習として大量廃棄が当たり前のように行われていました。

ここにいる限り自分の思いと現実のギャップに悩み続けるんだろうなと思ったので、会社を辞めて少しお休みしたあと、ユーズドの服を新しい服に生まれ変わらせるアップサイクルブランド『LOVE it ONCE MORE』を立ち上げたんです。このブランド名には、もう一度愛してもらえるようなアイテムを生み出したいという思いを込めています。

環境問題に意識を持って取り組む

環境に対する問題意識を持ち始めたのはいつからですか?

ブーツカバーを身に着けた女性

『LOVE it ONCE MORE』で人気アイテムの一つであるブーツカバー。手持ちのスニーカーに合わせると個性的なブーツに早変わり!

物心ついた時から意識はしていましたね。地球温暖化やリサイクルというワードは小学校で習ったのですが、特に「地球温暖化」という言葉を聞く度にすごく苦しくて。ビルに入れば夏でもキンキンに冷房が効いているのが気になって、自宅でも冷房の温度を推奨温度に上げるような子供でした。

環境問題に対して、マロさんが特に意識していることを教えてください。

実は、アップサイクルのブランドを立ち上げたのと同じくらいの時期に、マクロビオティックを始めたんです。マクロビオティックでは「一物全体(いちぶつぜんたい)」(※)という言葉があるのですが、その言葉にならって、私も食材をまるごと食べるように意識しています。野菜であれば皮や葉も食べ、お米は精米されていない玄米を食べることで余すことなく栄養をとるようにしているんです。マクロビオティックの考え方を学んでから「衣食住すべてにおいて無駄をなくすこと」を意識するようになりましたね。

また、 自分の行動がどこに、どのように繋がっていくのかも意識しています。例えば食器洗いの洗剤は下水に流れ、それがやがては川や海に流れます。そして、その成分を取り入れた魚が生まれ、その魚を自分が食べる。

こんなふうに、私達の生活と自然界は繋がっています。
だからこそ、私の行動が他者や環境にどんな影響を持つのかをイメージしながら、意思決定をするように心がけているんです。

※ありのままの姿で分断されていない状態のことを指す

アップサイクルを具現化したブランド『LOVE it ONCE MORE』

ご自身のブランドを立ち上げる際に苦労した点や、手応えを感じた点を教えてください。

LOVE it ONCE MOREのリサイクル糸を利用したタグ

どんなブランドにするのかを考えるプロセスがとても大変で、アップサイクルがブランドの軸になるまで半年間くらい考え抜きました。
始めはヴィンテージのTシャツを倉庫で買い取ってリメイクしたものを販売していたんですが、モノが溢れている時代に自分が本当にやりたいことは一から生地を作って新しいモノを生みだすことではなく、既にあるものを魅力的に創り変えていくことだと感じて。そこから「アップサイクル」というテーマにたどり着きました。

それからは寄付してもらった服をアップサイクルするようになったんです。

半袖のアップサイクルニット

『LOVE it ONCE MORE』ではPRなど特にしておらず、寄付を募るのは自分のアカウントからがメイン。アップサイクルプロジェクトを行っている子が私の他にもう一人いて、その子が集約した寄付のなかからニットのアップサイクルを私が担当しています。

実はこのブランドを始めた時、お客様が、ただ「可愛い!」と思って洋服を買ってくれたことがあって、すごく勇気をもらった経験があるんです。

環境意識が高い人に買ってもらうのももちろん喜ばしいことですが、私はそこだけにこだわりたいというわけではありません。「服を作りたいという思いにアップサイクルという要素が加わっただけ」というスタンスも大切にしたい。純粋に服として評価されたことに手応えを感じました。

マロさんたちはアップサイクルな取り組みの一つとして『OUR LUCK』というイベントも企画されていますね。これはどのようなイベントなのですか?

OUR LUCKの会場

『OUR LUCK』は会場に用意された何もかかっていないラックに、大切だけど着なくなってしまった服を自由にかけてもらうイベントです。ラックにかけられた服は、誰でも持って帰れるようにしました。料金は発生せず、ファストファッションブランドの服もOK。参加の条件も、「服を大切にすること」「服をかける時に服の思い出を書いて一緒にかけてもらう」の2つだけ。

服との思い出を書くことで、ものだけでなく思い出も受け継ぐことを重要視されたのはなぜですか?

思い出が書かれた布と服

一枚の服に詰まったストーリーが印象的な『OUR LUCK』での一コマ。

私がヴィンテージを好きな理由は、服にその人の使い方、思い出などがたくさん詰まっているから。それを想像するのがすごく好きだったんです。
だから、服を受け渡す時にストーリーがあれば、次の持ち主がもっと大事にしてくれるのではないか、想像が膨らんでさらに楽しんでもらえるのではないかと思いました。さらに、もとの持ち主が「服に対しての感謝」をもう一度思い出せるのではないかという狙いもありました。服に思いを馳せることで、また新たなストーリーが生まれる。それが楽しいんですよね。

だから、『OUR LUCK』に掛ける服はただ捨てようと思っている服ではなく「大切だけど最近着なくなったな」という服にしてもらいました。思い入れがある服だけ持ってきてもらいたかったからです。

今後もこのイベントは定期的に開催していきたいと思っています。

アパレル企業や消費者を取り巻く現状

多くのアパレル企業は在庫を抱えながらも、新しい服を作り続けています。これはなぜなのでしょうか?

大きなアパレル企業では、服1枚の単価を安くするために大量発注しています。単価を下げるため、できるだけ多くの枚数を発注しなければなりません。その理由は、技術の高い工場を予約するためには一定数の枚数を発注しなければならず、少ない枚数での発注は優先されないから。希望の工場を押さえるために、多く発注しなくてはいけないという背景があるんです。

服を100%消費させるという思いは強くなく、50%ほど消費されれば良しとされていました。なので残り50%はそもそも捨てるつもりで売値を決めていることもあります。ファミリーセールでも売れない服の行き先は焼却か、大量に売りさばくことができる別ルート。私にとってはそれがとても苦痛でした。

それに、私がアパレル企業で働いていた当時は、お客様を呼び込む戦略として月1回は新しい商品を見せないとという意識がありました。別ブランドで売れ行きの良い商品がでると私たちもすぐに似たようなアイテムを作ることも。百貨店ブランドであっても、タグをとってしまえばどのブランドのものかも判別がつかない似通ったものばかり。これでは、自分が服を作っているというプライドが持てないと思いましたね。

アパレルアイテムの大量廃棄問題を改善するために「消費者」と「企業」は、それぞれ何ができるのでしょうか?

白いワンピースにブーツを履いた女性

消費者側ができるのは、ブランドをしっかりと選ぶこと。服や環境を大切にするスタンスを持ったブランドを選び、一つのアイテムを長く愛用する意識が重要ではないかと思います。新しいものがほしい時は、フリマサイトやリユースショップをのぞくのもいいですよね!でも、私は、新しい服を買うことに罪悪感を持つ必要はないと思うんです。本当にほしい物なら、長く大切に使えるはずだから。

企業側ができることは、一度売ったアイテムの修理やクリーニングなど服の一生をサポートするサービスを提供すること。長く続いている業界の慣習をすぐに変えるのは難しいと思うんですが、そのようなサービスから始めていければいいのではないでしょうか。

私たちにもできるアップサイクル

最後に家で過ごすことが多いこのタイミングだからこそ、マロさんがおすすめしたいアップサイクルな取り組みを教えてください!

アップサイクルなインテリアが置かれた部屋

空き瓶を取っておいて色を塗って花瓶にしているというマロさん。

私のおすすめは、不要なものを売ること!自分のクローゼットをチェックして手持ちのアイテムを見つめてみると、不要なもの、本当に必要なものがわかってくる。それに、似たものがあるのに新しく買ってしまった、買ったのに全然使っていない、というムダがなくなると思います。

また、アイテムを決めて2週間着回しコーデを試してみるのもおすすめです。そうすると、意外に服ってそんなに数や種類が必要ないということがわかるはず。

不要な服や布を雑巾にして家を掃除するのも良いですね。その時、「ありがとう」という感謝の気持ちを持って掃除してみてください。ただ捨てるのではなく、"感謝離"をしてみてほしい。

また、シャツの裾を切ってマスクを作り、シャツとマスクのセットアップにすることや、透明な瓶に不要な服から割いた布を巻きつけて一輪挿しにするのが最近のマイブームです。アイディア次第で服の楽しみ方が広がりますよ。

マロクラタニ
アップサイクリングクリエイター、ニットデザイナー。
某アパレル企業で企画デザイナーとして働いた後、独立。自身のブランド「LOVE it ONCE MORE」を立ち上げ、ユーズドの洋服を新しい服に作り変えてオンラインで販売。ブランド売上の一部を保護犬・猫の施設へ寄付する活動もおこなっている。

内容について報告する